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コラム記事

弁護士選びのポイント

2015.04.28 弁護士

勉強会やセミナーの折にお話しさせていただいている弁護士から見た弁護士選びのポイントをまとめてみました。
交通事故の被害に遭われ、弁護士へのご相談を検討中のお客様のご参考になれば幸いです。

ご相談者のご心情・・・気軽に相談できない

未だ敷居の高さが残る弁護士の実情

交通事故事件の法律相談に関しては、初回相談料「無料」の対応をしている法律事務所が増えてきたものの、法律相談料30分5,000円(消費税別途)が主流です。
30分で実践的なアドバイスをするのは、実は弁護士にとってもとても難しいことです。30分で相談を終える場合、経験を積んだ弁護士であっても、論点やポイントを絞った一部のお話でご相談を終えざるをえないこともあります。

また、ご相談された方としても、限られた時間での専門的な回答を十分理解し、これを覚えて帰るということは困難なことではないでしょうか。そうなると、5,000円の価値をなかなか実感しにくい。また、依頼した場合はいったいいくらになるのか、聞いたら依頼しなければならなくなりそうで怖くて聞けない。そんなご心境で、ご相談することですらためらってしまうのが現状でしょう。
そういった意味では、弁護士への相談は未だに敷居が高いと思われてしまうのもやむをえないことです。

その他のご心情

その他、弁護士への相談を検討されている方のご心情として、以下のようなお話をよく耳にします。

  • 安心して相談できるのは、知り合いや、知り合いの友人知人など近しい人、しかし、そもそも知り合いに弁護士がいないし、自身の友人・知人とつながりのある弁護士がいない
  • 人柄をよく知らない弁護士に相談することが不安。金額の規模があまり大きくない事件の相談をして嫌がられないだろうか
  • 知り合いの弁護士や、友人・知人とつながりのある弁護士がいても、交通事故事件に関する知識・経験のレベルがよくわからない
  • 一番重要な、依頼した場合の料金体系がよくわからない、聞きたくても聞きにくい

弁護士から見た交通事故を取り扱う弁護士の実情

実は、個々の弁護士の知識・経験の把握は、仲の良い弁護士同士でもよくわかりません。当然、単に知っているだけの弁護士、知らない弁護士の人柄や力量ともなると、出版されている書籍やホームページで公開されている情報以外には知りようもありませんし、十分な情報公開を行っている弁護士はごく少数です。

そして、弁護士会も個々の弁護士の人柄や力量を把握するシステムを作ることが困難であることから、十分な把握ができていません。
専門弁護士制度を作ろうという議論もありましたが、体制構築が困難なため、議論が進んでおらず、当面の間は個々の弁護士が自由に「○○専門弁護士」と標榜することを差し控えるよう通知しているのみです。

このような現状では、これまで法律が関係するような事件と無関係に暮らしてこられた一般の方が分からないのは当然です。
ご自身に最適な弁護士を探すとなると、直接会いに行くか、ホームページで公開されている情報を熟読し、その力量や人柄を推測するしか方法はないと言わざるを得ません。また、直接会ってもその弁護士以外の弁護士を知らないためよくわからないということも多々あるでしょう。しかし、弁護士から見た、交通事故事件を相談する場合の弁護士選びのポイントがいくつかあります。

いざ弁護士へ相談、誰に相談する?・・・弁護士をつける意味と弁護士選びのポイント

利用する賠償基準を変えられる

被害者がご自身で相手損保と交渉する場合、自賠責基準での提示額からどの程度まで増額させられるかということになりますが、なかなか骨の折れる作業です。
しかし、弁護士に依頼した場合は、おおむね保険会社独自基準(多くは人身傷害約款準拠)の提示額から交渉が始まり、これを裁判基準に近づけていき、開きが大きければ裁判にしてしまい、裁判基準での満額回収を試みるということになります。
弁護士へ依頼することの意義として最も典型的なものとしては、この賠償金の計算基準をご自身に有利なものに変えさせるということが挙げられます。

無料相談枠がある

ご相談者にとって相談の敷居を高くしている時間制相談料ですが、これに無料の枠がある法律事務所であれば、まずは勇気を出して敷居をまたぎやすいといえます。法律事務所を訪問すること自体が骨の折れる作業ですが、相談無料であれば、セカンドオピニオンを受けに複数事務所を回る場合はハードルが下がるのではないでしょうか。

自宅や職場から近く、気軽に足を運べる

顔と顔を合わせて話をしなければ、安心して仕事を依頼することは難しいのではないでしょうか。電話や書面、メールだけのやり取りでは理解しにくい話も、顔を合わせて説明を受けるとよくわかったということがよくあります。それは人は情報の多くを目で得ているからです。アクセスしやすい事務所であれば、いつでも気軽に説明を受けに行くことができます。体が痛くて足が運びにくい場合であればなおさらです。

医療知識と経験に根差した自賠責保険実務の知識を持っている

経験が豊富で力量のある弁護士であれば、上記の他に以下のような特徴が出てくるところです。

  • 親身に診療にあたってくれ、相手損保からの盾になってくれ、充実した後遺障害診断書を作成してくれるようなよい病院、よい医師の情報を持っている
  • 特定の傷病について、腕のよい医師や病院の情報を持っている
  • 傷病や治療に関する知識が豊富で、診療科をまたいだアドバイスができる(例えば、整形外科だけでは不十分で麻酔科も受診した方がよいなど、医師がコンサルしてくれない部分のフォローができる等)
  • 治療中における医学的な証拠の残し方や各対応方法を心得ている
  • 医療や自賠責の審査システムに関する知識を自賠責保険への被害者請求に活かすことができる
  • 医療事故との競合案件、多重事故等複雑案件に対応できる

これらが充実することで、より適切な(場合によっては、より上位の)後遺障害等級獲得や、治療中における病院や接骨院との円滑なコミュニケーション、相手損保との適切な対応を可能にし、被害者の方が安心して治療に専念できる環境をもたらします。
ご相談されるのであれば、これらの条件をより多く満たしている弁護士にご相談されるとよいでしょう。


見分け方としては、事故直後から相談に乗っており、回答内容が適切かということにつきます。たとえ専門知識や経験がある弁護士でも、時機に遅れると挽回できないケースが多々あります。力量のある弁護士ほど、事故直後の早期からご相談いただくことを推奨しております。ただ、この条件だけでは真に力量のある弁護士とは言い切れません。
以下の点もよく確認しておく必要があるでしょう。

訴訟も辞さない態度と、安易な示談をしてきていないという実績がある

この条件が欠けていると、相手損保から足元を見られたような提示額しか引き出せません。どうせ訴訟にはしないだろうとみくびられてしまうわけです。また、実際にその弁護士が積極的に訴訟をしてくれないのであれば、事件はそこで暗礁に乗り上げてしまいます。事件解決が困難となりかねません。

経験に根差した裁判例と裁判動向に関する知識がある

この条件が欠けていると、経験豊富な相手損保の担当者を相手にして、よい交渉ができません。弁護士であれば、交通事故事件に関する裁判例の知識を十分に持っているわけではありません。それぞれの弁護士にそれぞれの得意分野があるからです。その弁護士が日々交通事故分野の研究を重ねているかどうかが重要です。

落としどころをわきまえたバランス感覚を持っている

この条件が欠けていると、わずかな増額しかできないのに裁判をされてしまって事件が長期化したり、逆に裁判をしたことによって獲得金額が減るリスクを負ってしまったりすることもあります。
弁護士が、ご自身のお気持ち、言い分をよく酌んでくれるか、お気持ちを酌みつつも、ご相談者にとってよりベストな解決を考えた結果、ご相談者の考えとは違う解決方法を提案することができるか、その解決方法をとることについて納得できる説明をしてくれるかということも重要でしょう。

弁護士は、ご依頼者の方の主張を単に相手にそのまま伝えるだけのメッセンジャーではありません。ご要望をそのままこなすだけではかえってご依頼者に損をさせてしまうこともあるのです。

親身な対応でお互いの信頼関係が築けそう

弁護士業もサービス業である以上、親身に対応するのは当然のことですが、すべての弁護士がご相談者様のご満足のいくレベルでこれが提供できているのか難しいところです。

親身に対応してくれ、信頼関係が築けそうか、この判断のポイントは、分かりやすく納得するまで説明してくれる弁護士かどうか、ご自身との相性がよいといえそうな弁護士か、ご相談者自身の直観的なところも大事になってくるところでしょう。
お互いがよく信頼し合い、二人三脚ができた事例ほどよい解決になります。

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