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大腿骨骨折で認められる等級と認定のポイント
目次
交通事故で大腿骨を骨折するケースとして、歩いて横断歩道を渡っているときに自動車に衝突した場合や、バイクの運転中に自動車と衝突して転倒するときに体を地面に強打する場合などがあります。
大腿骨は、上半身を支える大変重要な部位です。骨折すると、ほとんどの場合、痛みが強く、立つことや歩くことができなくなります。
交通事故に遭ったショックに加え、強い痛みと思うように体を動かせない中、ご自身で相手方との交渉や、後遺障害の認定申請をすることはあまり現実的とはいえません。
弁護士法人シーライトでは、年間100人以上の交通事故に関する相談をお受けしています。交通事故の損害賠償における交渉や裁判で培ってきた知識や経験から、大腿骨骨折で認められる後遺障害等級と認定のポイントをお伝えします。
目次
大腿骨骨頸部骨折
大腿骨骨頸部骨折とは、股関節内の大腿骨の骨折のことをいいます。
後遺障害として、股関節の可動域制限、脚の短縮、痛みなどの症状が残ります。
【参考】一般的な治療方法 手術治療を行うことが多いです。 ・骨接合術 ・人工骨頭置換術 |
股関節の可動域に制限がある場合
等級 | 症状 |
8級7号 | ・人工骨頭置換術をした後、さらに関節の動きが2分の1未満に制限された場合
・骨折の予後が悪く、健側の関節可動域の10%程度以下、または受傷側の関節可動域が10°以下に |
10級11号 |
・骨折の予後が悪く、健側の関節可動域の2分の1以下になったもの ・人工骨頭置換術をした場合 |
12級7号 |
・骨折の予後が悪く、健側の関節可動域の4分の3以下になったもの |
★認定のポイント★
自動車損害賠償責任保険 後遺障害診断書の「関節機能障害」の欄に、正確に計測した可動域を記載してもらいます。
脚が短縮してしまった場合
等級 | 症状 |
8級5号 | 5㎝以上短縮した場合 |
10級8号 | 3㎝以上短縮した場合 |
13級8号 | 1㎝以上短縮した場合 |
★認定のポイント★
自動車損害賠償責任保険 後遺障害診断書の「短縮」の欄に、必ず計測した値を記載してもらいます。記載が抜けていると、脚が短縮していても後遺障害を認定してもらうことができません。
痛みが残る場合
大腿骨頸部骨折が癒合した後も、受傷部位に痛みやしびれなどの神経症状が残る場合
※自賠責保険で認定される後遺障害は、常時性が必要とされているので、「屈曲時痛」「運動痛」「荷重時痛」など日常生活上の一部分のみ発生するような痛み等では等級は認定されないことに注意です。
等級 | 症状 |
12級13号 | 画像所見などにより、神経症状の発生を医学的に証明できるもの |
14級9号 | 医学的には証明できなくても、自覚症状が単なる故意の誇張でないと医学的に推定できるもの |
★認定のポイント★
後遺障害診断書の「自覚症状」の欄に記載してもらう必要があります。
12級と14級を分けるポイントのひとつとして、画像所見があります。骨折した部分のレントゲンやCT、MRIなどの画像から骨が完全にくっついていなかったり、きれいにくっついていない状況が医学的に証明できる場合、12級が認定されます。
大腿骨転子部・骨幹部骨折
大腿骨転子部骨折とは、股関節より少し下の骨折です。
骨折した場所を中心に痛みが生じ、脚を動かすことができなくなることもあります。
大腿骨骨幹部骨折とは、大腿骨の中央部分の骨折です。骨折部に痛みや腫れが生じ、歩くことができません。また、下肢の変形がみられる場合もあります。
後遺障害としては、骨の変形、偽関節、脚の短縮、痛みなどの症状が残ることがあります。
【参考】一般的な治療方法
・小児の場合 ・成人の場合 |
骨が変形した場合
外からみて、骨折箇所が曲がっていることが分かる場合
等級 | 症状 |
12級8号 | ・大腿骨が15度以上屈曲して変形癒合したもの |
★認定のポイント★
後遺障害診断書の「長管骨の変形」の欄に記載することが必要です。
偽関節の場合
偽関節(仮関節)とは、骨折部位の癒合過程が完全に停止してしまっている状態をいいます。不安定に動き、そのたびに痛みを感じます。最初の治療から半年たっても骨がつながらず、その後3カ月しても回復に向けた変化が認められない状態で、骨折の重篤な後遺症のひとつです。
骨折部が異常に可動して、立ち姿勢を保つことや歩行が困難になることがあります。
等級 | 症状 |
7級10号 | 大腿骨の骨幹部等に偽関節を残し、常に硬性補装具※を必要とするもの
※医師の指示により、専門の義肢装具業者によって作られた金属製・プラスティック製の身体機能を補完・代替する用具 |
8級9号 | 大腿骨の骨幹部等に偽関節を残すが、常には硬性補装具を必要としないもの |
★認定のポイント★
硬性装具の要否を記載し、偽関節がわかるX線画像が必要となります。あわせて後遺障害診断書の「荷重機能障害」「長管骨の変形」の欄に記載することが必要です。
脚が短縮してしまった場合
大腿骨骨頸部骨折時の「脚が短縮してしまった場合」と同様です。
【測定方法】
骨盤の前側に出っ張っている部分(上前腸骨棘:じょうぜんちょうこつきょく)から内側のくるぶしの部分(下腿内果下端:かたいないかかたん)の間の長さを測定します。左右両方を測定し、比較することによって等級を認定します。
測定は、メジャーで測る方法や、左右の大腿骨・下腿骨の全長を個別にXP撮影して計測する方法があります。
痛みが残る場合
大腿骨骨頸部骨折時の「痛みが残る場合」と同様です。
大腿骨骨折の相談実績
左大腿骨骨頭部人工骨頭置換術等による後遺障害等級認定の見込みに関するご相談
<弁護士からのアドバイス>
骨折部を人工骨頭または人工関節に置換せざるをえなかった場合、通常は10級11号が認定されますが、ごくまれに関節可動域が健常な方の可動域と比べて2分の1に制限されてしまうケースがあります。この場合は8級7号が認定されます。可動域の測定にあたっては、医師に日本整形外科学会及び日本リハビリテーション医学会の定める「関節可動域表示ならびに測定法」で測定するようお願いするとよいでしょう。
交通事故で大腿骨を骨折したときは、早めに弁護士にご相談を!
大腿骨を骨折した場合、歩行が困難になり、治療にかかる期間も長期にわたるケースが多く見受けられます。
後遺障害が残ってしまいそうなときに、後遺障害等級の認定に不可欠な検査を受けていなかったり、後遺障害診断書や経過診断書等の記載内容に不備があると、実際の後遺症に見合った後遺障害等級が認定されないこともあります。
適切な後遺障害等級の認定を受けるためには、交通事故被害に関する豊富な知識や経験を持つ弁護士にご相談することをおすすめします。
後遺障害等級の認定に関する手続きにとどまらず、加害者側の保険会社とのやりとりなども弁護士が行うので、精神的な面でのご負担も軽くなると考えています。
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