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健康保険について

2014.12.30 保険

交通事故被害の治療に健康保険は利用できないと勘違いしておられ、または利用を嫌がる病院や治療院が見受けられますが、交通事故被害の治療にも健康保険は利用できます。その根拠の一つとして、厚生労働省(旧厚生省)の通達(昭和43年10月12日・保険発第106号)が挙げられます。

健康保険を利用する最大のメリットは、自由診療による治療と比べて治療費の総額が低額に抑えられることと、被害者の方のご負担が3割に抑えられるということです。

治療費は加害者がすべて負担するのだから関係ないのではないかと思われる方がいるかもしれません。しかし、以下のようなケースでは健康保険を利用していた方が得になることが多いです。

①治療期間が長引いてしまった場合
②被害者の方にも過失割合がある場合
③保険会社から治療費の支払いを打ち切られてしまった場合

まず、①の場合、すべての治療費を加害者に請求しても回収できないことがあります。このような場合、自由診療で治療を続けていると、健康保険を利用した場合と比べて治療費の総額が数倍に及ぶことがあります。しかも、健康保険では3割負担で済みますが、自由診療では全額負担です。そのため、回収できなかった治療費の自己負担額が数倍違ってきます。

次に、②の場合、過失割合に応じて加害者から回収できない治療費が発生します。例えば自由診療で治療費が150万円かかり、過失割合が被害者の方にも2割ある場合、治療費の自己負担額は30万円となります。これに対し、健康保険を利用した場合、治療費総額自体が100万円以下で済む場合が多いと思います。仮に健康保険を利用した場合の治療費総額を高く見積もって100万円だとすると、自己負担額は3割の30万円となり、過失割合に基づく最終負担額はその2割の6万円です。つまり、自己負担額で24万円もの差が生じます。

最後に、③の場合、当面ご自身で治療費を立て替えなければならなくなりますが、自由診療の総額治療費を立て替えるのと、健康保険を利用して治療費総額の3割を立て替えるのとでは、立て替え額が大きく異なってくるであろうことは上記①や②の場合の説明を見てもお分かりかと思います。

このように、健康保険を利用することには多くのメリットがあります。逆に、利用した場合のデメリットというべきものはありません

なお、治療途中で健康保険を利用した場合、最初の通院日に遡って健康保険診療の金額で精算し、過払い部分を返金する手続をとっていただける病院もありますが、このような手続をとってくれない病院もありますので、もしご利用になる場合はなるべく早く健康保険の利用を申請するべきでしょう。単に健康保険証を提示するだけでなく、健康保険による診療を明確に伝えることが重要です。

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