コラム記事
肩甲骨骨折
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肩甲骨骨折とは
肩甲骨は、胸郭の後外側部、第2〜第8肋骨の高さに存在する逆三角形状の扁平な骨です。
肩甲骨骨折は、比較的頻度の低い外傷であるとされていますが、バイクの転倒時に肩から地面に落下して強く打ちつけられた場合等、肩に外部から力が加わったときに生じます。
肩甲骨骨折における部位別頻度としては、肩甲骨体部と肩甲骨頸部が多いようです。その他、骨折部位により関節窩骨折、肩甲棘骨折、肩峰骨折、鳥口突起骨折との診断があります。
症状
局所の圧痛、腫脹のほか、呼吸や肩関節を動かしたときに痛みが増加します。また、肩関節に近い部位が骨折した場合、腕を上げたり回したりが困難になる場合があります。
治療
肩甲骨単独での骨折の場合、多くは患側上肢を三角巾で吊るのみなどの保存的療法が選択され、治療にあたっては、疼痛に耐えられる範囲で、なるべく早期に上肢の運動を始めることが大切とされています。
肩関節に可動域制限が残ってしまいそうな場合も含め、リハビリはきちんと適切な時期から開始し、定期的に病院で行いましょう。適切なリハビリが医療記録で確認できないと、後遺症が残ってしまった場合に不利に扱われる可能性があります。
転移の著しい肩甲骨頸部骨折や、肩甲骨関節窩(かんせつか)は手術が必要となる場合があります。
検査
レントゲン検査やCT、3DCT、MRI検査等
診断が肩甲骨骨折のみであるにもかかわらず、受傷から2ヶ月程度経過しても症状が改善せず、肩関節に痛みや可動域制限が認められる場合、他の傷病(肩鎖関節の脱臼、腱板損傷等)が見落とされている可能性もあるので、早期に3DCTや肩関節部のMRI検査を受けるべきでしょう。発見が交通事故から時間が経過(4ヶ月以上)してからになってしまうと、事故との因果関係を否定されかねません。
後遺障害
一般には、6週間程度(長くても3ヶ月程度)で治癒するとされており、後遺障害までには至らず回復することが多いとされています。
しかし、変形が著しい場合や、疼痛が残存した場合、鎖骨など他の部位の骨折と合併して機能障害が残存した場合には、後遺障害が認定される可能性があります。その場合、考えられる後遺障害等級は以下のとおりです。
変形の後遺障害
骨折部分が変形癒合となってしまった場合は、体幹骨の変形障害として12級5号が認定される可能性があります。この後遺障害等級が認定されるには、裸体となったときに肩甲骨の変形がはっきりと分かる程度であることが必要です。レントゲン画像によって初めて確認できる程度の変形では認定されません。
変形の場合、後遺障害逸失利益の請求は否定的ですが、実際の就労に影響がある場合は請求が認められるケースもあります。
関節の機能障害
肩関節の可動域に制限が生じた場合には、その程度に応じ、後遺障害等級8級6号、10級10号または12級6号が認定される可能性があります。
まれに肩甲骨骨折単独でも可動域制限が生じることもありますが、鎖骨の遠位端骨折、肩鎖靱帯の脱臼骨折、肋骨骨折等を合併した場合の方が、可動域制限が生じる可能性が高いと言えます。
レントゲンでは肩甲骨の骨折が確認しづらいので、3DCTなどで変形部を強調している画像を添付できればよりよいでしょう。
また可動域は、自動値ではなく他動値で正確な測定を医師に実施してもらう必要があります。まれに正確な測定せず目測で後遺障害診断書を作成してしまう医師もおりますので注意が必要です。
痛みによる後遺障害
骨折部位に痛みなどの神経症状が残存してしまった場合、後遺障害等級第12級13号または14級9号が認定される可能性があります。
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