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解決事例

後遺障害14級の認定に対し、異議申立などを行うことで、肩関節可動域制限10級を獲得した事案

2023.09.26 右肩腱板損傷、頚椎捻挫 10級
             
被害者 50代 会社員 男性
後遺障害等級 10級
受傷部位 上肢(手・腕・肩)
被害内容 右肩腱板損傷、頚椎捻挫
獲得額合計(自賠責保険金+解決金)
サポート前サポート後
提示なし2244万円

1ご相談内容

ご相談者はバイクで直進中に、脇道から出てきた車に衝突され、転倒し負傷した事故に遭い、右肩痛について後遺障害14級が認定されていました。

治療を1年近く受けていましたが、右肩を上げることができず、可動域制限の後遺障害が残ってしまいました。ご依頼者が14級という認定に不満があり、痛みしか認められておらず、可動域制限に関して、後遺障害が認められるように異議申立をしたいとのことで、ご依頼していただくことになりました。

2サポートの流れ(異議申立)

関節可動域制限の後遺障害等級を狙うにあたり、重要な点は、

①事故が後遺障害を引き起こすような衝撃の事故だったこと
②症状が事故当時から一貫してあること
③画像所見で外傷性の腱板損傷が認められること

の3点にあり、このポイントを絞って申請することとしました。

本件では、

①’刑事記録や物損事故資料を精査・分析し、車両損傷具合や転倒方向からして右肩を強打するような事故態様であったこと
②’カルテを取り付け、事故当初から症状固定まで一貫して右肩痛の症状を訴えていたこと
③’鑑定会社の画像鑑定医に依頼し、腱板損傷の所見がある旨の鑑定意見をもらい、意見書を提出する

ということをしました。
この結果、右肩痛につき他覚的所見ありとのことで、12級13号の認定に改められました。

3サポートの流れ(紛争処理機構へ申立)

異議申立の認定理由として、右肩痛について12級13号が認定されたということは「右肩痛を裏付ける他覚的所見が認められている」ということですが、それにも関わらず、右肩関節の可動域制限については「他覚的所見は認められない」との記載がありました。

このように、異議申立の認定自体において矛盾している点があり、紛争処理機構へこの判断自体矛盾があるということの申立てをし、端的に指摘しました。

その結果、紛争処理機構より、右肩関節の可動域制限として10級10号が認定されました。

4サポートの流れ(示談交渉)

紛争処理機構からの認定結果に基づいて、損害賠償請求をしたところ、逸失利益が争点となりました。弊所としては、労働能力喪失期間14年喪失率27%を主張しました。

相手方保険会社の提示としては、労働能力喪失期間は11年(6年間は喪失率27%、5年間は喪失率14%)を主張してきました。お互いの主張が折り合いが付かず、交通事故紛争処理センター(いわゆる「紛セン」)へ申立てをするということになりました。

5サポートの流れ(紛争処理センターへ申請)

弊所は、逸失利益約2100万円を主張し、相手方保険会社は、約1300万円を主張してきました。
ご相談者が事故当時高齢だったこともあり、逸失利益に関して、裁判では弊所の主張額満額は認められないリスクも考えられましたので、比較的早期な解決及び増額が認められる交通事故紛争処理センターに申立てを行うことにしました。

6解決内容

交通事故紛争処理センターへ申立てを行った結果、2回の期日をしたのち、斡旋委員から、和解斡旋案の書面が届きました。
争点となっていた逸失利益について、労働能力喪失率は全期間を通じ27%、労働能力喪失期間は11年とし、逸失利益の合計金額は約1800万円という和解案でした。ご相談者も早期解決を望んでおり、妥当な金額でしたので、和解することとしました。

7所感(担当弁護士より)

ご相談者は、事故から半年以上が経過してから、右肩のMRIを撮影していました。医療画像は、事故から撮影の期間までが長くなればなるほど、外傷性の所見が不明確になるという恐れがあります。
もし、ご相談者が事故から早期(1ヶ月以内)にMRIの撮影をしていれば、紛争処理機構まで行う必要はなく、自賠責保険会社へ等級申請した段階で、腱板損傷で10級が付く可能性はあったと考えられます。ご相談者が本件事故の早期からご相談にいらっしゃっていれば、MRI撮影等のアドバイスできたのではと考えております。

本件は、自賠責保険の硬直的な考え方であったり、画像の撮影が遅くなってしまったりと様々な要因で、適切な後遺障害等級が認定されるまでにかなりの時間を要してしまった案件でありました。

しかし、自分の後遺障害に似合わない等級結果に関して、きちんと相談しに来てくださったことは、最終的にはよかったと思います。後遺障害等級がきちんと認定されたことによって、それをベースとして示談交渉を進められたため、自賠責保険金と合わせ2200万円以上の賠償金を獲得することができ、弊所にご依頼いただいた甲斐があった感じています。

もし、14級のまま示談交渉行っていた場合、多くても300万円前後の獲得額だったことを考えると、5倍以上損害賠償金を延ばすことができ、溜意の下がる思いです。

交通事故では、行うべき検査があったり、優先的にやっておくべきことなどのアドバイスを受けて、それを実践することが重要なので、ぜひ早期に初回相談に来ていただきたいと存じます。

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