コラム記事
鼻の後遺障害について
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自賠責保険及び裁判実務において、鼻の後遺障害として等級が認定されるのは、鼻を欠損してその機能に著しい障害を残してしまった場合と、嗅覚を脱失または鼻呼吸困難が存する場合と、嗅覚が減退してしまった場合です。
「鼻の欠損」とは、鼻軟骨部の全部または大部分を欠損した状態です。「機能に著しい障害を残す」とは、嗅覚を脱失または鼻呼吸困難が存する場合のことです。鼻の欠損については、機能障害がなくても外貌醜状による後遺障害等級が認定されることがあります。
嗅覚については、鼻の外傷が原因で嗅覚機能に障害が残ってしまう場合もありますが、頭部外傷に伴う脳機能の障害が原因となり、嗅神経に影響が発生し、鼻の後遺障害を負ってしまう場合もあります。交通事故で前頭部を強打したり、頭蓋底骨折があったり、髄液性鼻漏を伴ったりした場合には、嗅神経障害を残す可能性があり、注意が必要です。そのため、鼻の後遺障害においては、耳鼻科のみならず、神経内科や脳神経外科で診察を受けることが重要です。
また、嗅覚機能の障害について後遺障害が認定されるためには、T&Tオルトファクトメーター検査を受ける必要があります。アリナミンPテストでも代替できます。ただし、アリナミンFテストでは、正確な検査ができないため、自賠責保険では判断資料となりません。これらの点も注意が必要です。
さらに、嗅覚の脱失は、高次脳機能障害の代表的な症状の1つでもあります。嗅覚を脱失してしまった場合は、高次脳機能障害の可能性についても考慮し、神経内科や脳神経外科のほか、精神科なども含め、高次脳機能障害治療について専門性を有する病院への通院を検討した方が良いでしょう。
鼻の後遺障害の認定基準は以下の通りになります。
目次
鼻の後遺障害の認定基準
嗅覚の脱失
等級 | 認定基準 |
12級相当 | 嗅覚を脱失または鼻呼吸困難が存ずるもの、(嗅覚の脱失とはT&Tオルファクトメーターで5.6以上) |
14級相当 | 嗅覚の減退するもの、(嗅覚の減退とはT&Tオルファクトメーターで2.6以上5.5以下) |
欠損障害
等級 | 認定基準 |
9級5号 | 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの |
当事務所では、鼻に後遺障害を負われた方に対し、適正な後遺障害の等級認定を得られるように認定のサポートを行っています。鼻に後遺障害を負われてしまい、お悩みになられていることがございましたら、お気軽にご相談ください。
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