コラム記事
高次脳機能障害が疑われる場合の対応について
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救急で運び込まれた搬送先の病院で、頭部の「異常なし」と診断が下ったものの、高次脳機能障害の後遺症が残っている可能性が見落とされているケースがあります。
それは、脳の損傷が脳全体にわたり微細に生じている場合(びまん性軸索損傷)、的確な診断が簡単ではないからです。
特に、脳に深刻なダメージを受けるような事故に遭った場合は、重傷で運び込まれることが多く、他の重症部位への対処に目を奪われがちなため、脳の微細な損傷は見落とされてしまう可能性があるのです。
このため、「異常なし」という診断がどの程度の検査結果に基づくものなのかを把握することも重要になっていきます。
通常のCT検査やMRI検査を受けただけでも不十分な場合があります。少なくとも、SPECT(シングル・フォト・エミッションCT)や、PET(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)の検査を受けるべきでしょう。
これらの検査を受けると、脳の断面の血流状態がある程度分かり、血液が流れていない領域を確認することができます。さらにMRIによって、拡散テンソル画像(トラクト・グラフィー)を撮影し、分析できるとよいでしょう。
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医療機関の選定について
再検査をしたい場合、まずは脳神経外科へかかり、脳の損傷の有無を確かめるMRI検査を受けることは有用です。事故当初にMRIを撮影していたとしても、真に異常がないかを確認するためには、定期的に頭部MRI検査を受けて脳の状態を経過観察してもらう必要があるからです。
SPECTやPET、拡散テンソルMRIの検査がまだの場合は、検査を受けることができる病院をご紹介いただき、検査を実施してください。
高次脳機能障害支援普及事業の利用
脳神経外科医のすべてが高次脳機能障害について詳しいというわけではなく、受傷時にMRIを撮影している場合、医師が既に撮影済みのMRI上の所見を再確認するだけで、再検査を行ってくれない可能性もあります。
そこで対策のひとつとして、障害者自立支援法に基づいて国が実施する「高次脳機能障害支援普及事業」を利用する方法があります。
この事業は、高次脳機能障害支援モデル事業として発足しました。平成18年から高次脳機能障害支援普及事業が実施され、平成22年には全都道府県において支援拠点機関が設置されています。
神奈川県の高次脳機能障害支援拠点機関は神奈川県総合リハビリテーションセンターになります。
高次脳機能障害においてよくみられる症状
高次脳機能障害の症状は、非常に多岐に渡ります。そして厄介なことに、ご本人では自覚が困難でかつ微妙なもので、日頃から頻繁に接触している方でなければ気付きにくいという特徴があります。
そのため、ご家族や職場のご同僚など、近しい方から見て交通事故後の被害者ご本人の様子に今までと違うと感じた場合、ご相談を検討された方がよいでしょう。
こんな症状はみられませんか?
| 症状 | 具体例 | 
| 
 記憶障害  | 
 ・忘れっぽいことに気づいてない  | 
| 
 注意障害  | 
 ・集中できない  | 
| 
 遂行機能障害  | 
 ・計画が立てられない  | 
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 病識欠如  | 
 ・障害があることを理解できない  | 
| 
 自発性の低下  | 
 ・やる気がない  | 
| 
 依存性・退行  | 
 ・人に頼る  | 
| 
 欲求コントロール低下  | 
 ・いくらでも食べてしまう  | 
| 
 感情コントロール低下  | 
 ・気分にムラがある  | 
| 
 固執性  | 
 ・気持ちが切り替えられない  | 
| 
 失語  | 
 ・話すことや言葉の理解が難しい  | 
| 
 失行  | 
 ・動作がぎこちない  | 
| 
 失認  | 
 ・見えているのに何か分からない  | 
| 
 半側空間無視  | 
 ・片側にあるものに気づかない  | 
| 
 地誌的障害  | 
 ・道に迷う  | 
| 
 対人技能拙劣  | 
 ・相手の気持ちを察することができない  | 
| 
 抑うつ  | 
 ・やる気が出ない  | 
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