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コラム記事

環軸椎亜脱臼・環軸椎脱臼

2015.09.01 その他のお怪我

環軸椎亜脱臼・環軸椎脱臼とは?

頸椎は7つの骨からなりますが、そのうち一番上の骨を環椎、上から2番目の骨を軸椎といいます。環軸椎亜脱臼(または脱臼)とは、環椎と軸椎とがずれてしまった状態をいいます。

そして、ずれが高度で環椎と軸椎を結合する関節が完全にはずれてしまっている状態を環軸椎脱臼(かんじくついだっきゅう)、はずれかかった状態を環軸椎亜脱臼(かんじくついあだっきゅう)といいます。

環軸椎亜脱臼(または脱臼)には、環椎が軸椎よりも前方にずれてしまう場合と後方にずれてしまう場合とがありますが、前方にずれている場合がほとんどで、後方にずれている場合はまれであるとされております。

交通事故による急性外傷や、もともとの加齢による頸椎の変性と相まって交通事故による衝撃により、これら環軸椎亜脱臼または環軸椎脱臼を発症してしまうという場合があります。

症状

環椎と軸椎とのずれの程度によって、脊髄が圧迫ないし損傷され、後頸部から頚部にかけての疼痛、頚部の運動時痛、めまい(ないしめまいによる座位保持困難)、上肢のしびれ、手足の運動麻痺、感覚麻痺、呼吸障害、膀胱・直腸障害などの症状が発症します。

治療方法

軽度であれば保存療法 (投薬、頚椎カラーの装着、姿勢の工夫等) で経過をみることとなります。保存療法で軽快しない場合や、ずれが高度の場合は手術が必要となります。
見落とされがちな傷病でもあるため、上記症状が軽減しない場合は、脊椎・脊髄専門医の受診をお勧めします。

後遺障害の存在及び程度を立証する方法(等級が認定される場合)

後遺障害の種類

環軸椎亜脱臼・環軸椎脱臼による後遺障害の種類としては、せき柱の変形による後遺障害、せき柱の運動障害、神経系統の機能障害の3種類がありえます。

各後遺障害の認定される場合について

ア)せき柱の変形障害によるもの
環軸椎の変形・固定(環椎と軸椎との固定術が行われた場合を含む)により、次のいずれかに該当する場合は後遺障害等級8級が認定されます。
・60°以上の回旋位となっているもの ※1
・50°以上の屈曲位または60°以上の伸展位となっているもの※1
・側屈位となっており、矯正位の頭蓋底部両端を結んだ線と軸椎下面との平行線が交わる角度が30°以上の斜位となっていることが確認できるもの※2

※1:これらは軸椎以下の脊柱を可動させず、当該被害者にとっての自然な肢位で回旋位または屈曲・伸展位の角度を測定してもらう必要があります。
※2:これらはレントゲン写真で確認します。レントゲン写真上で、最初の環軸椎亜脱臼のレベルと治療経過を明らかにしなければなりません。

イ)せき柱の運動障害によるもの
頭蓋・上位頚椎間に著しい異常可動性が生じた場合、後遺障害等級8級が認定されうるところです。

ウ)神経系統の機能障害によるもの
上・下肢の麻痺や痺れ、疼痛、その他排尿障害などの脊髄症状が残存してしまった場合、その後遺障害の程度によって5級、7級、9級が認定されうるところです。

このうち、膀胱機能障害については、神経系統の機能障害とは別の等級が認定され、神経系統の機能障害による後遺障害とは併合の関係に立ちます。

なお、自賠責保険への後遺障害等級認定の申請にあたっては、後遺障害診断書のほか、脊髄症状判定にかかる補助資料をあらかじめ医師に作成していただき(排尿障害の欄はウロダイナミクス検査をもとに記載してもらいます)、これも自賠責保険へ提出するべきでしょう。

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